健康コラム

より豊かなライフスタイルを築くための知識やヒントを提供します。仕事だけでなく、日常生活に役立つテーマを幅広く取り上げ、暮らしの質を高めるための情報をわかりやすく整理。自分自身の生活を充実させるだけでなく、地域の人々とのコミュニケーションにも活かせる内容をお届けします。

はじめまして、編集部です。

はじめまして、編集部です。

はじめまして。編集部よりお届けします。日々、患者さんや生活者の方と向き合っていらっしゃる薬剤師の皆さま、本当にお疲れさまです。私たち編集部では医薬品の取り扱いは行っておらず、ヘルスケアを中心とした活動を行っています。だからこそ、日々現場で患者さんと直接やり取りをされている皆さまは、「生活に一番近い医療職」だと感じています。最近は、対人業務の重要性が高まり、「薬を渡す」だけではない関わりが求められる場面も増えてきているのではないでしょうか。その中で、「何を伝えたらいいのか」「どこまで関わるべきか」と悩まれることもあるのではないかと思います。このWebサイトは、そんな日々の中で、無理なく取り入れられるヘルスケアの視点や、“自分自身のコンディショニング”と“生活者への関わり”のヒントをお届けできたら、という想いで立ち上げました。忙しい日々の中で、少しだけ視点が広がるきっかけになったり、「これならできそう」と思えるヒントがひとつでも見つけていただけたら嬉しいです。忙しい中で「自分のことは後回し」になりがちな皆さまにとって、少し立ち止まれる場所にもなれたらと思っています。この編集部からは、ときには少しゆるい雑談も交えながら、皆さまに寄り添う形で情報をお届けしていきます。ぜひ学びながら、一緒にできることを考えていけたらと思っています。これからどうぞよろしくお願いいたします。2026年6月 編集部

#編集部 #コンディショニング
【第4回(最終回)】外に出る薬局が、地域と人をつなぐ

【第4回(最終回)】外に出る薬局が、地域と人をつなぐ

第4回|番外編、皆さんへのメッセージ遠藤さんからのメッセージ大きなことから始めなくていいと思っています。一から地域で健康教室を始めよう、と意気込まなくても、まずは地域のイベントに一参加者として参加してみる。そこで人と話して、つながりをつくっていく。それくらいが、最初の一歩としてはちょうどいいのではないかと感じています。私自身も、ヤマガタアスリートラボさんとのご縁から始まり、それが高校での授業につながっていきました。最初から何かをやろうと決めていたわけではなく、地域の中で関わる中で、少しずつ形になっていったという感覚です。スポーツファーマシーⓇも、「スポーツや体づくりのことなら、この薬剤師に聞ける」というような、相談のフックを地域に一つ増やすこと。それくらいの感覚でいいのだと思います。そして、もう一つ大切にしているのは、一人で抱え込まないことです。地域の方が健康の悩みを一人で抱え込まなくていいのと同じように、薬局もすべてを背負う必要はありません。地域には、医療機関も、行政も、スポーツ団体も、学校もあります。お互いに頼り合える関係をつくっていくことが、結果的に地域の健康を支える力になっていくのだと思います。それぞれの地域に、それぞれのご縁があります。できる形から、少しずつ関わってみていただければうれしいです。池田さんからのメッセージスポーツファーマシーⓇや地域連携に興味を持っている方には、ぜひ一歩、つながってみてほしいと思っています。完成形を目指す必要はありません。できるところから関わってみる、声をかけてみる。それだけで、見える景色は変わってきます。私自身、山形で活動する中で実感しているのは、「地元」というフィールドの強さです。地域に暮らす人や、地元で活動している人とつながることで、思ってもみなかった形で取り組みが広がっていくことがあります。スポーツファーマシーⓇという名前がついているからこそ、スポーツをきっかけに人と出会い、一緒に何ができるかを考える時間が生まれる。薬局同士、地域団体、学校、アスリートなど、立場の違う人たちが関わることで、新しい価値が生まれていくと感じています。正しい情報に出会える場所が地域にあることは、競技者にとっても、そうでない人にとっても大きな安心になります。「何かあったら、あそこに聞いてみよう」そう思える場所があること自体が、地域の健康を支える土台になるのではないでしょうか。まずは、小さな一歩で構いません。人とつながることで、きっと次の可能性が見えてくると思います。編集部よりインタビューの最後に、遠藤さん、池田さんからお話しいただいた「薬剤師の皆さんへのメッセージ」を、言葉として残しています。連載では、「薬局は地域と人をつなぐ場所になり得る」という考え方をお伝えしてきましたが、ここでは編集の解釈を加えず、先生方が現場で感じていること、大切にしている姿勢を、そのまま受け取っていただければと思います。忙しい日々の中で、ふと立ち止まったとき、あるいは「自分の薬局では何ができるだろう」と考えたくなったときに、いつでも読み返してもらえると幸いです。

#スポーツファーマシー #スポーツファーマシスト #コンディショニング
【第3回】外に出る薬局が、地域と人をつなぐ

【第3回】外に出る薬局が、地域と人をつなぐ

第3回|“つなぐ”ことで、薬局は地域の一部になる地域の健康課題は、ひとつの薬局ですべて解決できるものではありません。遠藤さんは、「薬局がすべての答えを出す必要はない」と語ります。医療的な判断が必要なら受診につなぐ。生活習慣やコンディショニングの話なら、地域の教室や団体を紹介する。行政の取り組みがあれば情報を渡す。こうした「つなぐ」行為そのものが、薬局の大切な役割になります。池田さんも、「一人の専門家、ひとつの組織だけでは限界がある」と話します。学校、スポーツ団体、行政、医療――それぞれが役割を分担しながらつながることで、地域に根づいた仕組みが少しずつ形になります。重要なのは、大きなことから始めないこと。遠藤さん自身、最初から完成形を描いていたわけではありません。イベントに参加する。声をかける。話を聞く。その積み重ねが、地域との関係をつくっていきました。薬局は、処方せんを受け取る場所であると同時に、人と人、地域と健康をつなぐ入口にもなり得ます。完璧でなくていい。抱え込まなくていい。地域の中で「つながる」ことを意識するだけで、薬局の見え方は少し変わっていきます。編集部より適切な先につなぐことも、立派な専門性です。自分の地域で頼れる先を整理してみるところから、始めてみてもよいのかもしれません。この連載が、「薬局って、つながる場所なんだな」と感じるきっかけとなり、それぞれの地域での一歩を考える時間につながっていれば幸いです。>インタビュー動画の内容はこちら(先生が実際にどんな思いで語っているか、ぜひ動画でもご覧ください)

#スポーツファーマシー #スポーツファーマシスト #コンディショニング
【第2回】外に出る薬局が、地域と人をつなぐ

【第2回】外に出る薬局が、地域と人をつなぐ

第2回|スポーツファーマシーⓇは「入口」になる皆さんは、「スポーツファーマシーⓇ登録制度」をご存じでしょうか。スポーツファーマシーⓇ登録制度は、スポーツによるウェルビーイングの促進を支える薬局を「スポーツファーマシーⓇ」として位置づける取り組みです。 子どもから高齢者まで、健康づくりとしてのスポーツから競技スポーツまで、幅広い層に向けて、スポーツと健康に関する情報を地域に届けることが期待されています。そんなスポーツファーマシーⓇで働く遠藤さんが大切にしているのは、「ハイパフォーマンスからライフパフォーマンスへ」という考え方です。競技者のための専門知識は、日常を健やかに過ごしたい人にとっても役立つもの。スポーツファーマシーⓇは、競技者だけでなく、暮らし全体のコンディショニングを支える入口になれるといいます。特徴的なのは、「スポーツ」という軸が、相談のフックになる点です。「健康のことを何でも相談できます」と伝えても、具体的なイメージは浮かびにくい。一方で、「スポーツや体づくりのことなら」と切り口を示すと、相談のハードルが下がる。池田さんも、スポーツファーマシーⓇを「正しい情報に出会えるハブ」と表現します。こうした考え方が形になったのが、地域イベントや高校での授業でした。遠藤さんは、サプリメントとの付き合い方、ネットやAIの健康情報の扱い方、うっかりドーピングといったテーマを通じて、「答えを与える」のではなく、「判断する軸」を持つ大切さを伝えました。授業の中で投げかけたのは、「本当にそれのおかげなのか」「自分に当てはまるのか」「効果だけでなくリスクも見えているか」という問いです。池田さんが強く印象に残っているのは、授業後に実際の相談につながったことでした。高校生が不安を口にし、近くの薬局につながっていく。その姿を見て、「相談していい場所がある」という認識が、この地域に少しずつ根づいていく手応えを感じたといいます。スポーツファーマシーⓇは、資格を持っているかどうかで完結するものではありません。相談を受け止め、必要な先につなぐ。その“入口”が地域にあること自体に大きな意味があります。編集部より考え方と実践が結びついたとき、役割は具体的に見えてきます。自分の薬局が、どんな相談の入口になれそうか、思い描いてみてください。では、薬局が「つなぐ存在」になると、地域にどんな変化が生まれるのでしょうか。最終回では、その意味をあらためて考えます。>インタビュー動画の内容はこちら(先生が実際にどんな思いで語っているか、ぜひ動画でもご覧ください)

#スポーツファーマシー #スポーツファーマシスト #コンディショニング
【第1回】外に出る薬局が、地域と人をつなぐ

【第1回】外に出る薬局が、地域と人をつなぐ

取材対象:株式会社 大東本店薬局(スポーツファーマシーⓇ) 薬剤師・スポーツファーマシスト 遠藤 東吾元フェンシング日本代表(アテネ・北京五輪出場)/一般社団法人ヤマガタアスリートラボ代表  池田めぐみ第1回|なぜ今、「つなぐ薬局」なのか薬局は、誰でも立ち寄れる場所です。けれど実際には、「具合が悪くなってから」「処方せんがあるとき」に限って利用される場面が多く、健康に小さな迷いを抱えた段階の人や、誰に相談すればいいか分からない人には、十分に届いていない現実があります。南陽市で薬局を営む遠藤さんは、地域のプライマリ・ケアを担おうとするほど、「来局される方だけを待つ形では、どうしても届かない層がいる」と感じてきたといいます。サプリメントの選び方、体調管理、健康情報の受け取り方など、悩みは病気になる前から始まっているにもかかわらず、その段階でつながれる場所が見つからない人は少なくありません。一方、ヤマガタアスリートラボの池田さんも、スポーツ現場で同じような課題を感じてきました。競技者や保護者から聞こえてくるのは、「薬やサプリについて、誰に聞けばいいか分からない」という声です。インターネットやSNSで情報は簡単に手に入りますが、それが自分に当てはまるのか、リスクはないのかを判断するのは簡単ではありません。だからこそ必要なのが、「相談していい入口」です。特別な専門家でなくても、話を受け止め、必要に応じて適切な先につなぐ。その入口が地域にあるだけで、人は一人で迷い続けずにすみます。薬局が外に出る――それは大きな挑戦や新しい事業を始めることではありません。遠藤さんは「地域で暮らし、働く一人の生活者として関わっているだけ」と語ります。イベントや学校など、薬局の外に接点を持つことで、薬局は「健康意識が高い人のための場所」から、もっと多くの人に開かれた存在へと近づいていくのです。編集部より今回の話には、「待つ場所としての薬局」から一歩広げた視点がありました。自分の薬局でも、どんな人が思い浮かぶか、少し考えてみてもよいかもしれません。第2回は「スポーツファーマシーⓇ」を資格や制度ではなく、地域で果たせる“役割”として捉え直します。>インタビュー動画の内容はこちら(先生が実際にどんな思いで語っているか、ぜひ動画でもご覧ください)

#スポーツファーマシー #スポーツファーマシスト #コンディショニング
枚方市薬剤師会が考える「備え」と薬局の新しい役割

枚方市薬剤師会が考える「備え」と薬局の新しい役割

取材対象:枚方市薬剤師会会長 上羽敏明枚方市薬剤師会副会長  金田右季地震や豪雨など、災害はいつ起こるかわかりません。「必要だとは分かっているけれど、つい後回しになってしまう」——多くの人がそう感じているのが、災害への備えではないでしょうか。枚方市では、2018年の大阪北部地震や台風被害をきっかけに、災害対策への意識が大きく変わりました。枚方市薬剤師会では、自治体や医師会・歯科医師会と連携し、平時から災害を想定した研修や訓練、備蓄体制づくりを進めています。「災害は、経験して初めて“自分ごと”になります。だからこそ、起こる前から準備しておくことが大切なんです」そう語るのは、枚方市薬剤師会の上羽会長。医薬品の備蓄や供給体制に加え、薬剤師が地域で果たす役割は年々広がっています。特に課題となっているのが、高齢者や子どもなど“要配慮者”への備えです。医薬品の備蓄は一定進んでいる一方で、「食」の備えは十分とは言えないのが現状だと、災害薬事コーディネーターも務める金田副会長は指摘します。「自治体の公助には限界があります。だからこそ、日常的に要配慮者と接している調剤薬局が、医薬品以外でも力になれることがあると気づきました」そこで注目されているのが、ローリングストックという考え方です。備蓄品を“使わずに保管する”のではなく、普段使いしながら、結果的に備えにもなる仕組み。枚方市では、災害拠点病院で日常的に使用されている栄養補助ゼリーを、地域の調剤薬局でも取り扱う取り組みが始まっています。調剤薬局は、災害時に“開いている”こと自体が大きな支援になります。軽症の患者さんや、すぐに病院へ行かなくてもよい人の受け皿となることで、医療機関への負担を減らすことができるのです。「薬局は、薬を渡す場所であると同時に、地域の安心を支える拠点でもあります」災害時の特別な対応ではなく、日常の延長線にある備え。枚方市薬剤師会の取り組みは、特別な地域だからできるものではありません。「いつかは必要になることだから、今できる一歩から始める」——その姿勢こそが、これからの地域医療に求められているのかもしれません。編集部より災害時の備えというと、「大量に備蓄しなければ意味がない」と感じてしまいがちですが、今回のお話から強く感じたのは、「薬局に少しあるだけでも、救われる人がいる」という事実です。発災直後24時間~48時間、薬局に置いてある栄養補助食品や日用品が、要配慮者の安心につながる場面は確実にあります。調剤薬局は、平時から地域住民と接点を持つ、数少ない医療拠点です。無理のない形で、できる範囲から取り組むこと。その一歩一歩が、いざという時に地域を支える力になります。

#防災 #ローリングストック
【第4回(最終回)】 在宅現場から考える熱中症の関わり方

【第4回(最終回)】 在宅現場から考える熱中症の関わり方

【第4回】在宅チームの中の薬剤師 ― 野呂先生から、薬剤師さんへインタビューの終盤で、野呂先生は薬剤師さんとの関わりについて、ゆっくりと言葉を選びながら話していました。「薬剤師さんは、薬のことを一番把握している職種だと思っています」在宅では、医師や看護師よりも前に、訪問薬剤師や薬局を通じて患者さんに接する場面が少なくありません。その中で、体調の変化や生活の様子に気づくこともあります。野呂先生が強調していたのは、「判断してほしい」という期待ではありませんでした。何か気づいたことがあったら、とにかく電話してほしい、連絡してほしい。それだけなんです。それは、元気がなさそうだった、食事量が減っているように感じた、この薬、今の状態で大丈夫かなと思った、そんな小さな違和感で構わない、と。それを聞いて、どうするかは、医師や看護師、チームで一緒に考えます。在宅医療は、一人で完結するものではありません。それぞれの職種が、違う場面を見て、違う情報を持っています。迷ったままでいいので、とにかく伝えてもらえると助かります。それが、チームだと思っています。編集部よりこの言葉は、役割を求めるものでも、責任を押しつけるものでもありません。「見えていることを、つないでほしい」という、とても現実的で、切実なメッセージでした。薬剤師さんの関わりが、在宅チームの中で確かに意味を持っていることを、静かに教えてくれる言葉だと感じました。

#熱中症 #在宅
【第3回】在宅現場から考える熱中症の関わり方

【第3回】在宅現場から考える熱中症の関わり方

【第3回】様子見か、つなぐか ― 在宅での初期対応、その分かれ目熱中症は、症状が進むと短時間で重症化することがあります。在宅の現場でも、「様子を見るか」「医療につなぐか」の判断は、とても重要です。野呂先生は、こう話していました。「これは様子見じゃないな、って感じる瞬間はあります」その判断は、体温や血圧といった数値だけで決まるものではなく、意識の状態や、呼びかけへの反応、尿量の変化など、いくつもの要素を総合して考えられています。また在宅では、ヘルパーさんやご家族からの情報が、判断の大きな手がかりになることもあります。「“尿量が少なめです”って一言があるだけで、あ、じゃあそういう状況かもしれないな、って一気につながることがあります」「“尿量が少なめです”って一言があるだけで、あ、じゃあそういう状況かもしれないな、って一気につながることがあります」一人の視点だけでは見えないことも、複数の職種の情報が重なることで、状況が立体的に見えてくる。それが在宅医療の特徴です。もちろん、すべての場面で明確な答えが出るわけではありません。あとから振り返って、「もっと早くつなげていれば」と思うこともあれば、「あのタイミングで様子を見てよかった」と思うこともあります。編集部より「あとから考えると、あの時つないでおいてよかったなと思うことはあります」野呂先生のこの言葉には、判断の結果だけでなく、迷いながら向き合ってきた時間そのものが込められているように感じました。在宅医療では、完璧な判断よりも、状況を共有し続けること自体が、大切な役割を果たしているのかもしれません。家族の一言が、現場の判断につながることもあります。その“気づき”を受け止める役割を、薬局が担える場面もあると感じました。最終回では、在宅チームの一員として関わる薬剤師さんへ向けて、野呂先生からのメッセージをお届けします。「判断」ではなく「気づき」をどう受け渡していくのか。現場で本当に求められている関わり方について、先生の言葉をそのまま紹介します。

#熱中症 #在宅
【第2回】在宅現場から考える熱中症の関わり方

【第2回】在宅現場から考える熱中症の関わり方

【第2回】「水を飲めばいい」では済まない ― 高齢者の生活で見えてくる、水分補給の現実熱中症対策として、よく聞く言葉があります。「水をしっかり飲みましょう」。確かに、水分補給は欠かせません。けれど野呂先生は、その言葉がそのまま通用しない現実を、多く目にしてきました。「2リットル飲みましょう、と言われても、高齢の方には正直きついです」例えば、・少量でもお腹がいっぱいになってしまう・トイレが近くなるのが不安で控えてしまう・家族など周囲に気を遣って「飲みたい」と言えないそんな事情を抱えている方は少なくありませんまた、日常的に服用している薬や体調の影響で、水分のバランスが崩れやすい方もいます。そのため、「とにかく水を増やす」という単純な話では済まない場面が出てきます。野呂先生が大切にしてきたのは、飲めていないことを「できていない」と捉えるのではなく、「なぜ難しいのか」を一緒に考えることでした。水にこだわらず、・経口補水液・ゼリー・イオン飲料・食事からの水分など、その人が無理なく続けられそうな方法を探していきます。「結局、その人の今の状態を見ながら、その時できる形を探すしかないんですよね」一度決めた方法が、ずっと合い続けるとも限りません。だからこそ、水分補給は「指示」ではなく、「相談」として向き合う必要があります。編集部より野呂先生は、「水をたくさん飲みましょう、がそのまま当てはまらない方も多い」と話していました。一つの正解を求めるのではなく、いくつかの選択肢を並べながら、その時点での最善を探していく。その積み重ねが、高齢者の夏を支えているのだと感じさせられます。「水分をとりましょう」と伝える前に、「どんなふうに取れていますか?」と聞くこと自体が、在宅チームにつなぐ一歩になるかもしれません。次回は、「様子を見るべきか、それとも医療につなぐべきか」在宅の現場で何度も迫られる判断の分かれ目についてお届けします。数値だけでは判断できない場面で、野呂先生が何を手がかりに考えてきたのかを伺います。

#熱中症 #在宅
【第1回】在宅現場から考える熱中症の関わり方

【第1回】在宅現場から考える熱中症の関わり方

このコラムは、在宅医療の現場で活躍する看護師・野呂先生へのインタビューをもとに、「熱中症の手前」「水分補給の難しさ」「判断の迷い」「薬剤師さんへのメッセージ」という4つのテーマでお届けする連載です。現場で実際に起きていること、迷い、そして薬剤師さんが関われる場面について、先生の語りを中心に、全4回で掘り下げていきます。【第1回】「元気そう」に見える、その裏側 ― 在宅で見えてくる、熱中症の“ほんの手前”在宅看護師の立場から普段接している現場について、野呂先生はこう話していました。「在宅の患者さんって、もともと“少し具合が悪い”がベースにある方が多いんです」訪問看護の現場では、毎日を元気いっぱいに過ごしている高齢者は多くありません。慢性的なだるさや不調を抱えながら、日々の生活を送っている方がほとんどです。そのため、熱中症の初期症状はとても判断しづらい。ある高齢の一人暮らしの方も、訪問時には「ちょっとだるいだけ」と話していました。体温や血圧に大きな変化はなく、表情や受け答えも一見いつも通り。その場では、明らかな異常があるようには見えなかったそうです。ただ、あとから振り返ると、・前日から水分摂取が少なかったこと、・トイレの回数が減っていたこと、・会話のテンポがわずかにゆっくりしていたことなど、いくつかの小さな要素が重なっていました。「あとで考えると、あれは熱中症の一歩手前だったのかもしれないなと思います」野呂先生はそう振り返ります。高齢の方の場合、喉の渇きを感じにくいことも多く、「家の中にいれば熱中症にはならない」と思い込んでいる方も少なくありません。そのため、本人から「おかしい」「つらい」と訴えが出てくることは、実はあまり多くないのです。在宅では、数値や見た目だけではなく、その方の生活全体の流れの中で、「いつもと違うかもしれない」という変化を捉えていく必要があります。編集部より野呂先生は、「高齢の方は、“少し調子が悪い”がベースにある方が多い」と話していました。だからこそ、だるさや元気のなさが、いつもの状態なのか、別のサインなのか、見分けが難しい場面も少なくないそうです。実際に、「あとから振り返ると、あれは熱中症の一歩手前だったのかもしれない」と思うケースもあった、という言葉が印象に残りました。薬局でご家族からお話を聞くときも、「いつもと比べてどうか」という視点が、気づきにつながることがありそうです。次回は、「水分をとりましょう」という言葉が在宅の現場ではなぜ難しいのかを取り上げます。野呂先生が実際に向き合ってきた、水分補給の現実と迷いについて、現場での工夫とともにお話を伺います。

#熱中症 #在宅